女の胸元やスカートの奥が見えてしまう。見られる事を意識していないのか無防備な格
好である。いや、むしろ積極的に見せようとしているのかも知れない。向きを変えて視線
を逸らすと、またそちらの方へ進んでくるのが雰囲気で分かる。私がちらちら見るのをか
らかっているのだろうか?。避けるのを止めて、暫く見ていると挑発する様にスカートを
たくし上げ脚を開いた。パンティーが汗に濡れて陰毛が透けて見えている。目を逸らす前
に女と目が合ってしまった。
  「もうこれ位にしましょうか」、見ていた事を咎められたのかとギクッとした。
  「暑かったでしょう、シャワーを浴びてビールでも飲みましょうよ」と優しく誘われた。
  「着替えも無いし、シャワーは好いです」
  「Tシャツが有りますから、どうぞ使ってください」
  「・・・」
  「どうぞ、遠慮なさらずに」
  「じゃー、遠慮無く使わせてもらいます」
初対面なのにそこまで好意に甘えて好いものかと思ったが、かなり汗をかいていたので正
直な所有り難かった。浴室へ案内され、温めのシャワーで汗を流した。手早く済ませて出
ると、Tシャツと下着が用意されていた。
女の一人住まいで男物の衣類があることに疑問を感じたが、これ位の年齢の女に男気が無
い方が不自然だと思った。私の衣類は洗濯しているようであった。
  デッキで待っていると涼しげな服に着替えて、缶ビールとグラスを持ってきた。
  「カンパーイ」と楽しそうにグラスを合わせた。汗をかいた後なので一杯目はスーと入
ってしまう。飲み過ぎるとシャツの乾く間に醒めないので、缶ビール一本で止めた。
女は平気な顔をして何本も飲んでいた。飲むピッチも速く、顔も赤くならない。かなり強
いのだろう。私にも勧めるので遠慮すると、「草引きのお礼に夕食をご馳走しますから、
ゆっくりして下さい」と言われた。 
このまま居れば帰りは遅くなってしまう。本音は女との関係を求めていた。自家に帰って
も誰か待っている訳でもない。その日暮らしの孤独な生活に戻るだけである。
  以前、バイト先の女社長に引き留められて関係を結んでしまった事がある。それと同じ
事を私は期待していた。
  建築解体のバイトで、真夏のかんかん照りの中での作業だった。汗と埃で真っ黒になっ
てしまった。水道のない現場なので、作業が終わっても顔を洗うことも出来なかった。
予定より作業が遅れて汚れたままで帰ることになってしまった。日当を貰うために事務所
に寄った時に「藤波さん、用事があるのでちょっと残って貰える?」と引き留められた。
他の男連中が意味ありげに、にやにや笑いながら帰って行った。
  「汗臭いから、シャワー浴びなさいよ」と言われた。自分でも臭いが気になっていたの
で、恥ずかしい思いをした。
シャワールームへ行って鏡を見ると、汗と埃で真っ黒になった顔の中で目だけがギラギラ
光っていた。シャワーを浴びると埃が黒い液体となって流れ落ちた。着替えて事務所に戻
ると、社長は戸締まりを済ませて応接ソファーに座っていた。
  「ここに座って」と隣に座るように指示された。対面の席は書類が山積みになっていた。
  「暑いのに大変だったでしょう。ご苦労様」
  「いいえ、・・・ご用事は何でしょうか?」  
 「貴方、お一人なんですって?」
  「家内を亡くしてから、やもめ暮らしです」
  「じゃー、こちらは不自由しているでしょう?」といきなり私の股間に触れてきた。


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