押し倒すように迫ってきて、唇を重ねてきた。激しい接吻の後、「して頂戴」と耳元に囁
かれた時には女の手によって勃起していた。女はズボンをづり下ろしペニスを含んだ。
右手で扱きながら左手で睾丸を愛撫し、亀頭を舐め回した。私は女の襟元から手を差し入
れ乳房をもてあそんだ。熟れきった身体が男を求めていた。もどかしげに互いの着衣を脱
がせ合った。
  女の背中には尻の辺りまで彫り物があった。四十半ばの熟れきった身体に厳めしい不動
明王が睨みを効かせていた。
  屈強の男たちを雇用している解体業を女手一つで切り盛りしていく為の虚勢なのか?
刺青を見ることでより官能が刺激された。互いをまさぐり合い舐め合った。明るい照明の
下で立ったまま交わった。片足をソファーに乗せて開いた女の秘部に激しく突き入れる。
突き上げる度に乳房から汗がしたたり落ちる。汗と淫汁が淫らな音をたてた。
  私たちのあられもない姿が事務所の鏡に映っていた。女に鏡を見るように目線で合図を
送る。私の腰に絡めていた脚を外して向きを変え、事務机に手をついて尻を突き出した。
後ろから腰を抱き込み一気に突き入れる。
お互いに鏡に映った牡と雌を見ながら激しい抽送を繰り返し、女の昂揚とともに一気に放
出した。私は繋がったまま乳房を揉み続けた。女は股間から手を伸ばし睾丸を柔らかく揉
み上げる。ペニスは女の中で怒張したままだ。女の膣がヒクヒクと痙攣していた。背中の
不動明王が上気した肌色で一層赤みを増し私を睨み付けていた。
 夕食の後はどうなるのだろう?。岩下忍は女社長のように擦れてはいない。最近の若い
男は女と二人で泊まっても何もしない者がいると聞いたことがある。忍が若い男と同じよ
うに私を見ているとすれば、女社長と同じようになる事を期待している私はとんだ道化師
である。妻を亡くして後、味気のないやもめ暮らしで性欲をもてあまし、いろんな女と関
係を持ってきた。女と交わる事が私の生きている証になっていた。
  性に餓えた中年男と若い女が食事をする。その後はどうなるのか?。食後の情事を想像
している時にはそのまま数年間も一緒に過ごす事になってしまうとは思ってもいなかった。

  「あり合わせの物しか無くてご免なさい」と言う割には豪華な料理だった。一人暮らし
で店屋物で済ませる事が多い私には温かみのある家庭料理であった。忍も今までの一人暮
らしが寂しかったのか、「二人で食事をする事がこんなに楽しいとは思わなかった」と嬉
しそうだった。寂しい者同士が会話を楽しんでいた。
  食事中に雨が降り出した。梅雨時に雨具も持たずにツーリングに出掛けたのが迂闊であ
った。雨具があったとしても、ぬかるんだ道をオンロード用のタイヤのバイクで降りるの
は危険である。さりとて私の口から「帰れなくなった」とは言えなかった。無理をしても
帰らなくてはと思っていると、「こんな雨ですからお泊まり下さい」と勧められた。
今まで充分うち解けていた事もあって、「泊まっても良いですか?」。「どうぞ、ご遠慮
なく」と自然な成り行きであった。
  ワインを飲みながらゆっくりと食事を楽しんだ。食事が終わる頃には何年来の友人のよ
うに会話が弾んでいた。最早、男女の関係に進展するような雰囲気ではなかった。
  深夜まで話し込んで午前0時頃に風呂に入った。前の持ち主がかなり贅沢をしていたの
か、岩を組んだゆったりとした風呂場だ。
少し温めだが脚を伸ばして首まで浸かれるので気持ちが好い。
  雨は激しく降っていた。木立から落ちる雨音が山の静けさにより寂しさを募らせてくる。

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